夏といえば海!川!山!!「山」と言ったみなさん、山で何しますか?バーベキュー?キャンプ?そう、虫取りですよね!いろんな虫がいる中、子供のみならず大人にまで人気を誇るキングオブムシ。とも言えるヘラクレスオオカブト!(以下ヘラクレス)そのヘラクレスの国内トップブリーダーである河野博史さんにインタビューしてきました。
河野さんは「HirokA」の名前で活動しておりその名前を聞いたこともある方も多いのでは?日本のみならず海外にも多くのファンがおり海外で行う講演会では満員で入場制限がかかるほどの人気ぶり。そんな河野さん、どんな経緯でヘラクレスのブリーダーになったのでしょうか?
ヘラクレスオオカブト トップブリーダー 河野 博史さん
---様々なメディアやファンの間で伝説とまで言われた河野さんですが、なぜヘラクレスのブリーダーに?
元々、虫は嫌いだったんです。10年くらい前に地元のディスカウントショップにオスかメスかもわからないヘラクレスの幼虫が販売されてました。1,980円で。「丸儲けじゃん!」と思いましたね。しかも、それが意外と売れてて。「これは自分でもできるんじゃないか?」と思って始めようかと考え出しました。
---意外にもまずはお金だったんですね。でもたまに見ますね。カブトムシの幼虫をそういった感じで売っているところ。
その後、実際飼育されている方のところで幼虫とか見せてもらいましたけど、全然可愛いなんて思いませんでしたね。正直気持ち悪かったです。でも、熊本県にある昆虫ショップ『マルシュウ』さんで成虫を見せてもらってその格好良さに惹かれました。その時点で、店主の上村さんと「日本一のかっこいいヘラクレスを育てたい!」という話になって上村さんに師事し、それがスタートですね。最初はメタルラック1台で細々とやってました。
成虫・幼虫ごとに飼育棟を変え徹底された温度管理の下飼育している
---今は見せてもらっただけでも500頭越えているように見えますが
メスはあまり数に数えないので正確にはわかりませんがそれくらいはいるかもしれません。
---ヘラクレス以外の繁殖はされているんですか
一時期は別の種類もやっていたんですがどうも本気になれず、、、どうしても他の種類を飼育するとそちらにも神経がいって勘が鈍りますし最高のものを生み出すためにはヘラクレス。その中でもヘラクレス・ヘラクレス一本に絞って飼育しています。
ヘラクレスの前蛹(ぜんよう)この時期に十分なスペースの蛹室を作れないと
ツノの曲がったヘラクレスが生まれる。これではいけない。
そういったことを防ぐために人工蛹室を作る。
---プロフェッショナルな発言ありがとうございます!そんな素晴らしいヘラクレスを育てる上で重要になってくるものはなんでしょうか
何と言っても血統が大事です。いくらいい環境でも成体の形やバランスには血統が大きく関わってきます。それとマットと温度管理。これらさえ揃えればそれなりのものは育てられます。
既製品ではなく、オリジナルの配合でマットを作る。入っている成分は企業秘密。
各飼育棟の温度をウェブカメラで監視。スマホやパソコンでいつでも監視ができる。
温度に問題がある場合はネット上で操作ができるようにしてある。海外からも操作を行った。デジタル技術も存分に取り入れている。
---これだけ有名になってしまうとご近所のお子様の憧れの的じゃないですか
う〜ん、たまにくるけどそこまで本気って感じはしないかな(笑
---僕ならそんな人が近所にいたら毎日通い詰ちゃいますね。そんな最高の環境で育てられたヘラクレス。今までで最大のサイズってどれくらいだったんですか
うちで排出した個体で最大のサイズは171mmですね。これは日本記録。というか世界記録です。雑誌やメディアを等した場ではまだ誰にも破られてません。
---171mm!?すごく大きいですね。そんな河野さんのヘラクレスって販売はしているんですか
もちろん、基本はネットオークションから購入いただけます。その他にも有名昆虫ショップやペットショップで扱っているところもあります。
---ちなみに、HirokAブリードのヘラクレスの相場ってどの位なんですか
そうですね、普通は3~5万円ってところでしょうか。過去には30万円の値が付いたヘラクレスも数頭いましたよ。
---30万!!いやはやそれは、、、しかし、3~5万円と聞くと意外と高くはない感じですね。昔は10万円くらいしていた記憶があります。
今は飼育数も増え良質な個体が増えてきたので相場は下がっています。その中から最高の一匹を探すのは結構大変かもしれません。
---その一匹を大切に育てるのが飼育者の楽しみですね。びっくりしたのがヘラクレス用の義手を作っているそうですが
様々な理由から足の一部を欠損した個体は多いです。そういった個体は日常生活もですが特に交尾の時苦労します。スタイルはいいのに足がなくてうまく交尾ができないとかわいそうでしょ?それで、どうにかできないかと思い試しに作ってみたら成功したって感じですね。最初は針金一本だったんですが、見栄えを良くするために本物のヘラクレスの足に似せて作ってネットで出したらみんな驚いちゃって(笑
ヘラクレスには完全個室で徹底された温度管理の下飼育される。
---いろんなアイデアも出されるんですね。
その他にも、簡単にビニールシートに穴をあける道具とか、コバエ防止の道具とかも考えました。要はいいヘラクレスを作るための工夫なんですね。
---河野さんは日本国内だけではなく海外からの支持もアツいですね。海外も昆虫飼育って盛んなんですか
台湾や香港・ベトナム・タイ・韓国・マレーシアなどアジアで昆虫人気が高まっているようです。が、やはり日本が一番盛んだと思います。
---その世界で一番盛んな日本のトップブリーダーともなると海外からたくさんコンタクトが来るんじゃないですか
そうですね、アジアの虫好きからメッセージがたくさん届きます。あ、でも、スロバキアの人からもこのあいだ連絡があったなぁ。先日も台湾のイベントに呼んでいただきたくさんの人が集まってくれました。残念なことに参加希望者が多くて入場制限をかけざるを得なかったそうですが。
---世界からも大注目ですね!いろいろお話を聞いてきましたが、河野さんブリーダーになって良かったことを教えて下さい。
やっぱり一番はたくさん友達ができたことです。いろんな人と交流が増えて考え方も変わったし人との繋がりが強くなった気がします。それに、最初は「日本一」を目指していたのにいつのまにか「世界一」を目指すようになってしまいました(笑
---では、大変だったことは
飼育の面での苦労はたくさんありますがそれは別に大変だとは思いません。でも、この業界にもいろんな人がいるのでそういった面での大変さはあるかもしれません。まぁ、それも含めて人との繋がりでしょうか。
羽化後間もない個体(右)と羽化後時間が経った個体(左)ここまで色が変わる。
---ヘラクレスという虫で人生が大きく変わったようですね。最後に河野さんにとってヘラクレスとは
ヘラクレスは夢を与えてくれる存在。もっともっと子供達にも興味を持ってもらいたい。今後は子供達に昆虫を育てる楽しみを伝えていきたいですね。
---河野さんありがとうございました。
昔から子供達の憧れの的だったヘラクレス。今はいろんなところで見れるようになったが実際手にとって見る機会はまだ少ないだろう。今後も河野さんのようなブリーダーたちの尽力でもっと身近な存在になれば虫も大好きな私としては嬉しい限りである。実際取材の時、今期最高の出来のヘラクレスを手に乗せてもらったが金額を聞いて緊張を隠せなかった。それでこそヘラクレスなのかもしれない。
河野博史さんのブログ HirokAD・H・HWorld
読者コメント