鹿児島県姶良市加治木町で古くは400年以上の歴史を誇る伝統的な行事。加治木くも合戦。前回の「くも合戦 川端勝夫さんにインタビューしてみた」ではくも合戦に出場される方の飼育やトレーニング方法についてお話を聞かせていただきましたが、今回はいよいよくも合戦本番の会場へ行ってきました!
加治木町に来てまず思うのが町の所々にクモを見れるということ。
バス停にまでクモが・・・
会場に到着するとそこはまさしくクモだらけ!
会場の中にも外にもたくさんのギャラリーや出場者が集まってきてます。
出場者は自分の出番まで他の出場者と談笑したりクモを見せ合ったりそれぞれ時間を過ごしているようですが、所々に闘志のようなものも感じられました。
出場間近のクモたち。これからこのクモたちによる暑い一日がスタートする。ちなみにこの日集まった出場者は約130人。クモに関しては400匹ほど集まっているそうです。凄まじい・・・
さて、出場者の皆さんにいろいろお話を聞いている間に最初の【優良ぐもの部】の審査が始まりました。加治木くも合戦は3つの部門で構成されており最初に行われるのがこの優良ぐもの部。
1.優良ぐもの部 裃を着た審判員たちが審査する優良ぐも。八頭身ですらりとしたスタイル、クモの色艶や姿形の美しさを競う。(ホームページより引用)
審査基準が掲げられているがこのイラストのクモが理想形なのだろうか?審査は意外と早く終わり上位3頭が選ばれた。素人目にしても形が整い美しいのがわかる。
さぁ!これからいよいよくも合戦のスタートです!!
合戦の部
長さ60㎝の横棒(ヒモシ)の上が決戦場。1匹のクモは最大3回戦うことができ、3匹の勝ち数の合計で順位を決める。
ぜひ動画で合戦の模様をご覧ください。
試合方法は、ヒモシの先端に「かまえ」と呼ぶくもを待機させ、「しかけ」の対戦ぐもを行事が仕切って向い合せた状態で対戦させる。
勝敗は次の4パターンある。
- 相手のくもの尻(ドン)に平たい糸をかけたものが勝ち。
- ドンにかみついたものが勝ち。
- 相手のくもが糸を垂れてヒモシからぶらさがったのを、すかさずその糸を切り落とした者が勝ち。
- 戦闘意欲のないくもは、行事の判断により引き分け。
出場条件は、ひとり必ず3匹のくもを出場させること(メスに限る)。1匹のくもは最大3回対戦する資格を持ち、負けた時点でそのくもは出場資格を失う。3勝したくもは王将戦の参加資格を得られる。 (ホームページより引用)
出場者のみなさんの中でも緊張が高まっているようです。出場者に年齢制限は特になく様々な年代の方がクモを連れています。地元小学生もたくさんクモを連れてます。
たくさんのメディアに囲まれながら会場3つのブースに分かれて総勢400匹によるくも合戦が行われます。
クモ同士の安全と闘争心を維持させるために奮闘する行司。素早くも的確な手さばきは見ていて飽きません。
たくさん集まった観客の中に一際目立つ外国人のグループが遊びに来られていました。このイベントは海外からも注目されていて毎年たくさんの外国人観光客も観戦に来られるとか。せっかくなのでお話を聞いてみました。
ニュージーランド出身のリアノンさんと通訳をしてくださった豊松さん。
---リアノンさん、この加治木くも合戦は初めて観戦されますか。
2回目です。
---ニュージーランドにこういったイベントはありますか。
ニュージーランドにはないですね、初めて見たときはすごく変な感じがしたけどクモが綺麗で新鮮な気持ちでおもしろかったです。
---ニュージーランドの方々にとってクモってどんな存在なんでしょうか。
結構みんな怖い印象を持っているけど、クモは私たちの日常にいて生活に欠かせない身近な存在かな?
---日本人の印象とそう違いはないんですね。こういったイベントがニュージーランドで行われたら参加したいですか。
もしあっても、ニュージーランドの人が興味があるかどうかがわからないから、日本独特のイベントとして楽しみたいですね。
3時間にも及ぶ激闘を勝ち抜き王将戦への出場資格か与えられてクモたち。
いよいよ最終決戦が始まります。
3.王将戦の部
合戦の部で3連勝したクモだけが出場でき、トーナメント形式でチャンピオングモを決定する。(ホームページより引用)
丸1日かけて今年のチャンピオングモを決定する。最後に、加治木くも合戦保存会の副会長のコメント。
「私も最初はくもが苦手でした。でも今では可愛くて仕方がありません。姶良という人口7万6千人の街この加治木くも合戦は街の誇りです。いまでは時期が来るのが楽しみで仕方がありません。クモってのは本当に優しい生き物なんです。一緒に抱いて生活したいくらいです。見ていただければイメージが変わります!是非、遊びに来てください!」加治木くも合戦保存会 副会長 石倉様
ちなみに、会場隅にこのような箱が設置されていました。
これは、くも合戦が終わったらそのクモは野生に返す決まりがありこの箱に返却入れれば保存会が自然に返してくれるとのこと。
中にはすでにたくさんのクモが入っていました。
こんな長い歴史を持ち世界からも注目を集める加治木くも合戦。平成8年には民族無形文化財にも指定されている。なかなか見れないクモの熱い戦いを見に是非一度足を運んでみてはいかがだろうか。
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