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ぺっとの根っこ

2015年2月号

続!馬の起源!

2015年02月10日 18:46 by takahiro-miura
2015年02月10日 18:46 by takahiro-miura
 早いもので、あっという間に2月です。
WEST ROAD RANCHの馬達は寒さをもろともせず元気にすごしてます‼
さて、先月のお話しの続きを進めて行きましょう。どんな過程を経て馬が現在の形を作り得たのか!?それでは!


● 最初の単動物・プリオヒップス
 始新世の下層のヒラコテリウムから中層のオロヒップスに至るまで、約2000万年も費やしたが、馬体の大きさと形態にはたいして進化のあとは見られず、また4指3趾もそのままであった。
 ただし、第1前臼歯が小さくなり、逆に第3前臼歯が大型化した。これは明らかに、古代馬の常食の中に占める草の比重が増大したことを示すものであり、ちょうどこの時期、気温の低下に基づく落葉樹の後退と針葉樹の進出、そして野草が繁茂するようになったとする説と符合する。
 漸新世——今から3000万年ないし2000万年前の下層から発見されたメソヒップスになると、体高は少し増して50cm前後だが前肢は完全に3指、しかも第3指に当たる中央の指が大きくなりその左右の指は辛うじて着地する状態を呈するようになった。
 アメリカ大陸で森林が後退し、同時に湿原も狭くなって土地は乾燥し、馬が疾走するのにふさわしい環境は徐々に拡大されていった。
漸新世の中層から採取された化石は、この時期にメソヒップスの種類が増えたらしい事実を推測させるが、上層から発掘されてミオヒップスと命名されたものでは体は大きくなり第3指趾は太さを増し両側の指趾はますます縮小しているのがうかがわれる。

 今から1200万年前を中心として、その前後それぞれ600万年ぐらいの幅のある約1200万年間が、地質学上のいわゆる中新世(ミオシーン)であるが、この時期になるとウマ族の祖先は前記ミオヒップスより著しく進化の度を高めた。
しかしカロバティップスと呼ばれる他の系統のものには両端の2指趾が再び発達した。
これは明らかに森林地帯が南下拡大したことによる生活圏の変化に基づくものであり、湿地帯で再適応した結果と推測される。
なお、これと同種の化石はヨーロッパ大陸でも発見されアンキテリュウムと名づけられたが、これはヨーロッパ独自の系統に属するものではなく、アメリカ大陸からユーラシア全域に移動したものと同系だと研究者たちは推測し、さらにそのまま絶滅したと考えられている。


 

 中新世におけるもう1つの系統で、結局そのまま現在の馬の先祖になるのは、その下層から発見されたパラヒップスである。
これは漸新世のミオヒップスに比べて、臼歯の咀懐面がより複雑化し、また長さも増し、それに中指趾がいよいよ大きくなって、草原型の特徴も顕著に現れていた。中新世の中層からはさらに進化したメリクヒップスが見つかった。常食とする草の咀嚼に好都合なように臼歯は一段と発達し、また四肢の両側の指趾はついに地に着かないくらい小さく退化してしまっていた。
 体高も一挙に90cmに達するほど大型化した。このメリクヒップスは次の鮮新世(プリオシーン、今から700万ないし100万年前)のかなり長期問にわたる地層からも発見されるが同時にこの系統からは3つの際立った支流つまりヒッパリオン・プロトヒップス・プリオヒップスに分かれたらしい事実が想定されている。

 ヒッパリオンはとくにヨーロッパ大陸に広く分布し、後代のシマウマやロバと系統的に関連があり、馬とは無関係だとされている。
また、プロトヒップスは鮮新世の下層で中絶してしまった。
 結局、馬の祖先としては上記3系統のうち残るプリオヒップスに求めなければならないが、これこそ馬の進化の歴史に登場する最初の単指趾動物であり、この指趾の数とともに歯の形状面についても地球上に現れた「もっとも馬に近似する動物」として記憶される。
 テキサスで、さらに進化したブレシップスの化石が発見されたことにより、これと前記プリオヒップスとのあいだの系統的な関係も明らかにされた。
地層学的には、ようやく鮮新世が幕を閉じようとしており、いわゆる最新世(今から100万年前)に突入しいよいよ人類誕生の洪積期が到来し馬と人とが関わり合う機会がやって来る。

 プレシップスはアメリカ大陸でさらに進化し現代の馬(エクウス・カバルス)にいよいよ近似し名実ともに共通のウマ属つまりエクウス(equus)として、多くの型に分かれていった。
そのうちの1つエクウス・スコッティ型のものを最後として北アメリカのウマ族は絶滅し、5500万年にわたり繰り広げられた北アメリカ大陸における馬の進化の歴史は終焉することになった。
また鮮新世中期南下したプリオヒップスの1系統が進化した南アメリカのヒピディウムも洪積期の中頃までに北アメリカ大陸における場合と同様の運命をたどった。こうして馬の歴史は、以後アメリカ大陸からベーリング陸橋を越えてユーラシア大陸に移動した馬にしぼられることになった。
北アメリカにおけるウマ族の最終的な絶滅の原因として気候の変化・伝染病の蔓延などいくつかの説がとなえられているが、現在もっとも有力な説は人類による大量乱獲が原因だったとするものである。
もしそうならばアメリカ大陸のウマ族は人による自然破壊の最初の犠牲者だったのかもしれない。

なお、北アメリカ大陸で馬の祖先が進化していった間のユーラシア大陸における事情については今後の研究に待つところが大きい。

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