九州の北に位置する北九州市。その北九州市にある日本最大級のビオトープ響灘ビオトープに今回お邪魔しに行きました。
到着早々響灘ビオトープネイチャーセンターが見えてきました。
ご案内してくださるのはチーフガイドの岩本光徳さんです。
もともと北九州市で廃棄物処理場だった跡地に作られたビオトープ。岩本さんに響灘ビオトープの経緯を教えていただきました。
ここは元々様々な場所から出た廃棄物を投棄する場所で、深さ10m、広さ41haという広さがわずか6年という短い期間に埋まってしまいました。こういう処分場というのはきれいな土で覆いかぶせる事が法律で定められています(覆土工事)。北九州市は隣の区画が埋まった時点で二つ一緒にきれいにする予定をしていました。ところが10年間それを放置していたら色んな生き物が生息するようになったんですね。何一つ人為的に持ち込んだ生き物はいません。私は「奇跡の起きた現場」だとよく言っています。その生き物の中にはたくさんの絶滅危惧種も含まれています。こういった生き物を保全する目的と子供達に生き物に興味を持ってもらおうと環境学習の場として残そうじゃないかという事になり今の形になりました。
ネイチャーセンターから一歩出るとそこには広大な湿地や平野が広がっている。
この広大な敷地内にたくさんの生き物が生息している。岩本さん曰く
- 鳥類約180種
- 哺乳類約5種
- 両生類約3種
- 魚類約2種
- 爬虫類約3種
- 水生昆虫類約60種
- 陸生昆虫類約200種
- 植物草花類約300種
- 樹木約30種がこの響灘ビオトープ内に生息しているとの事です。
絶滅危惧IA類(CR)に指定されているベッコウトンボも生息(写真中央)
この他にもチュウヒやセイタカシギ。今となっては見かけなくなったゲンゴロウやメダカなどもこの響灘ビオトープには生息している。
この写真に写っている木は人間が植えたものではない。鳥の糞に含まれていた種が成長したものだ。
なぜ1列に並んでいるかというと、よく見ると木の中に錆びたフェンスが見える。このフェンスに止まった鳥が真下に糞をしその糞に含まれていた植物の種が成長した為、きれいに1列に並んだ生垣みたいな状態になっている。これも人の手は加わってはいない。
ここでいくつか岩本さんに質問をしてみました。
---街のビルや学校などでビオトープを見かけますがそれとは何が違うんですか
決定的な違いとしてここは人為的に持ち込んだ動物は一切ない。すべて自然発生または移動してきた動物です。こういう環境を作ったら生き物が帰ってくるというのが証明できた現場です。
---ということは環境さえ準備できれば他の地域でもこういった生き物などを呼び込む事が可能ということですか。
その可能性は高いですね。なので、他の地域でも環境保全に役立てようと国内から外様々な方が訪れるんです。
---岩本さんの普段の業務としてはどんなものがあるんですか
生態調査・ガイドが主ですね。あと、園内の看板などに掲載している生体写真はほとんど撮ってます。
来場者に岩本さんはじめガイドスタッフの方々がわかりやすく丁寧に教えてくれます。
響灘ビオトープでは定期的に家族連れも楽しめるイベントも開催しています。
日本国内でもこれだけの希少種が集まっている場所は数少ないでしょう。残念ながら1番の御目当てだったチュウヒはこの日見ることはできませんでした。が、岩本さんから色々なお話が聞けて貴重な資料などを見せてもらえたのはすごく有意義なものだと感じました。取材当日が祝日だったこともあってか家族連れやバードウォッチングをされている方を多く見かけます。今後、休みの日の行き先として様々な希少動植物が観察できる響灘ビオトープに是非一度遊びに来られてはいかがだろうか。
----------施設情報----------
北九州市響灘ビオトープ
〒808-0021
福岡県北九州市若松響町一丁目126-1
電話番号 093-751-2023
ホームページ http://www.hibikinadabiotope.com
営業時間 9時〜17時(入園は16:30まで)
休園日 毎週火曜(但し、火曜日が祝日の場合は翌日が休園日)
入園料 一般100円 小・中学生50円(ネイチャーセンター入館無料・園内有料)※団体料金 一般80円 小・中学生40円
駐車場 あり
読者コメント